

私はRAWデータの現像には、Adobe Lightroom 2を使っているが、「記憶の色を逸脱しない」を前提にしている。記憶の色とは文字通り自らの目で見た、感じたままの色のことである。上段の写真は、白っぽい空を青く鮮やかになるように処理しているが、五重塔の朱色や屋根の色や桜の色は記憶の色の範囲にとどめている。
ある現像ソフトの試用版で「夕景」という操作をしたら、私の記憶にない見事な鮮やかな色になった。作者の意志に沿わない、記憶の色を逸脱した色だった。同じことは多彩なシーンモードを備えたコンパクトデジカメの機能にも言える。「最適化」という都合の良い言葉で、記憶の色を逸脱した色を押しつけられているのである。
「デジカメの人はいじるから」と、フィルムだけの方は言うが、記憶の色を逸脱しない範囲であれば許容されるものではないだろうか。RAW現像とは、データの中に潜在しているものを引き出す作業と理解している。
写真は、上段:10年4月14日 7:41 AM Adobe LightroomとPhotoshopで調整している。
下段:08年11月23日 9:36 AM 明度とアンシャープマスクのみ調整